「はこだてわいん」のロゴについて

皆さんはワインは好きだろうか。

私は大好きだ。

私は旅が好きなのだが、お酒を飲める歳になってから旅先の地酒に興味が湧くようになってきた。 中でも私は函館の街が大好きでことあるごとに行っており、以前n回目の函館を訪れた際に「はこだてわいん」というワイナリーを知った。

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しばれわいん

厳密には函館空港から帰るときにお土産売り場で知った。見た中で「北海道限定」と書いてある「しばれわいん」に目が止まり、自分用とお土産用で購入し、帰宅してからいただいた。葡萄を凍結させて搾汁することにより、葡萄の果汁成分を濃縮して醸造している、高級デザートワインである。過去に著名な賞も受賞している。

www.hakodatewine.co.jp

口に含んだ瞬間に広がる葡萄の甘さ、華やかな香りが印象に残った。大変美味しいワインであった。 ちなみにこの経験のせいで、ついこの間函館に行った際に3本+αも購入してきてしまった。反省はしていない。f:id:dnsym:20200301034727j:plain

さて、今回取りあげたいのはこのはこだてわいんのロゴである。

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はこだてわいんのロゴ
このロゴをまじまじと見たとき、なんて洗練されたデザインなんだと感じた。なぜか。

まず、パッと見ると左右対象のように見えて左右対象でないことに気づく。そしてよく見てみると「函」の文字の中に「ワ」「イ」「ン」の3文字が隠れていること、それらを除くとWINEのWになっていることがわかる。

複数の文字で構成されているロゴや単語などはしばしば見かける。しかしこれに感銘を受けた点は「上手に隠れていること」「程よくフラットでうるさくない」ことである。

例えばこれを広告などで見たとき、ロゴとして入ってくる情報は「函」という比較的情報の量が少ない1文字である。その一方で函の文字はワイン,Wで構成されており、これに気付こうとなかろうと、情報量が増えていることに鬱陶しさを憶えない。複数の文字を合成しているにもかかわらず、初見で函館の「函」であると簡単に知覚させ、それ以上深読みすることを強制させない(函の下にもwineと書かれていることが多いことからも)。それでいて、(基本的にこれを目にするのは函館なので)函館のワインなんだと理解させることができる。大変完成度の高いロゴであると感じた。

さらに、ワインとWの文字があるにもかかわらず、これがうまく隠れてくれているおかげで函の1文字であるというよに感じるため、パスの少ないフラットなデザインにしてもうるささをほとんど感じない。配色も相まって落ち着きと上品さも感じる。日本のワインとしてふさわしい装いをしているように感じる。

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ワインのボトルのデザインというと、ヘアラインやブラケットのセリフ体で銘柄が英語で、年数が数字で書かれていて、ワイナリーの絵が細めで不均一なパスで書かれているものを思い浮かべるし、高級なワインこそそれに合致する。

国産ワインに散見される、日本人にあった、日本らしいワインとしての「品」の出し方は、何もヨーロッパなどのそれに似るものではない。

はこだてわいんは、日本人の味覚に合う「日本のワイン」を目指しています。もちろん、西洋の技術や味覚をそのまま模倣するのではなく、日本人のライフスタイルを意識した、カジュアルながらも本格的なワインをつくっています。

デザインも同様、地域によって品を装うツールは様々である。洗練されたパーツを設計し揃えることで、ブランドとして認知されていく。

カジュアルでいて本格的なはこだてわいん、機会があれば是非召し上がってみてください。

www.hakodatewine.co.jp